上伊那は県内有数の米の産地です。米穀生産者でつくる「JA上伊那米穀部会」を中心に美味しい米づくりを研究しています。伊那管内には4基のカントリーエレベーターがあり、「もみ」のまま貯蔵されます。注文に応じてもみ殻を取り除き「米」で出荷しているため1年を通じ品質と味が変わらず、新鮮な「今ずり米」として高い評価を受けています。生産費のなかで大きな比重を占めるのは労働費でしたが、近年は機械化や資材の進歩によって省力化や大規模化が進んでいます。
多年生の植物で、他品目との組み合わせや労働力に応じ作型設定できるメリットがあります。作型は、①ハウス半促成、②露地、③促成(伏込み)に分けられ、ハウス半促成と露地は収穫期により、春どりだけの「普通栽培」、春どり後に収穫休止期を設け夏秋どりする「2季どり」、春から収穫を休まず夏秋どりに移行する「長期どり」があります。伊那市では儲かるアスパラ生産の観点から、ハウス半促成の2季どり又は長期どりを勧めています。
重点推進品目に位置づけて生産振興を図っています。主な作型は、4月中旬~6月上旬に定植し、7月下旬~12月の夏~冬にかけて収穫するパターンです。白ねぎ栽培では主な作業に機械力が利用できます。収穫適期の幅が広いので他品目との労力競合を避けながら収穫することが可能です。また、JAの共同選別・調整・荷造り体制が整備されているので、これらの作業の委託も可能です。
アスパラガス、白ねぎ同様に重点推進品目に位置づけて生産振興を図っています。主な作型は、3月中旬~5月上旬に定植し5月中旬~7月上旬に出荷する「春作型」、7月上旬~8月上旬に定植し9月上旬~10月下旬に出荷する「秋作型」の2作型です。在圃期間(定植~収穫まで)が80日前後なので、一つの畑で他作物と組み合わせた栽培も可能です。
業務用(カット野菜)の寒玉キャベツとレッドキャベツの栽培が行われています。作型は4月~5月に定植し7月~8月に出荷する「春作型」と、7月~8月に定植し9月~11月に出荷する「秋作型」の2作型です。契約栽培品目であり、収量を確保することで所得の安定を図ることが可能です。
日射量、日照時間、温度とも多い時期の栽培になります。最近はブロッコリーなどの連作障害回避のための短期輪作作物としてのコーン栽培も増加しています。品種の組み合わせにより出荷期の幅を広げることなども可能です。
重点推進品目として推進しています。主な作型は、施設を用い春~夏に収穫する「半促成栽培」と夏~秋に収穫する「抑制栽培」、露地又は雨よけ施設で栽培する「夏秋どり栽培」があります。収穫期間中は比較的安定して収入が得られるメリットがあります。
スイカの栽培は、果菜類のなかでは比較的労力・費用とも少なく、もっとも労力が集中する収穫作業も、ほかの果菜より少ない労力ですみます。スイカは、つるの成長と果実の発育のつりあいをよくすることが栽培のポイントです。また、つるの整枝で果実の肥大・品質をよくすることができます。
ズッキーニは、カボチャの仲間ですが、ほかのカボチャと異なり、支柱を用いた立体栽培が行なわれます。生育適温は果菜類のなかで最も低く、低温に耐える特性を持ちます。近年需要が増え生産が増えています。
全期間を雨よけ下で栽培することを基本とします。作業のほとんどが軽量な器具の取扱いのため、高齢者や女性だけでも対応できます。導入にあたっては、パイプハウス程度の施設が必要になりますが、暖房機などの付属設備が必要ないため、すでに施設を保有している場合には初期投資がほとんどいりません。
作型は、大きくは冬~春に収穫する「促成栽培」と夏~秋に収穫する「夏秋どり栽培」の2つに分けられます。促成栽培と夏秋どり栽培は、同じいちごながら、品種、栽培時期、栽培管理方法などが大きく異なり、ある意味では別作物と捉えた方が無難です。両作型ともパイプハウスなどの施設内で高設ベンチにより養液栽培する方法が主流で、比較的多くの売り上げ金額が見込める品目です。
低樹高の「新わい化栽培」や「高密植栽培」の栽培方式では、高品質・省力化が可能で、1ha以上の大面積の栽培も可能です。防除はスピードスプレヤー、草生栽培での土壌管理は乗用草刈機で機械化されており、収穫や着色管理は原則手作業ですが、摘果(花)作業も薬剤摘果(花)が普及に移されていて、効率化がされてきています。
伊那市は標高の低い地帯から高い地帯まで幅広く作付けがあり、「ナイヤガラ」や「ピオーネ」などのぶどうのもぎ採り園を中心に栽培が行われています。現在は、人気の「シャインマスカット」や「ナガノパープル」などの種なしで皮ごと食べられる大粒の栽培も増えてきています。また、長野県の新品種の「クイーンルージュ」の栽培も拡大しています。
上伊那産のぶなしめじは旨み成分のグルタミン酸などを多く含んでいます。また、肉質で弾力があり歯ごたえも抜群。注目は発ガン抑制効果で、発ガン抑制物質が豊富に含まれています。おいしくて健康効果の高いきのこです。冷凍保存が可能です。周年栽培で、一年中出荷をしています。
肉質で歯切れがいい「まいたけ」づくりに日々取り組んでいます。栽培施設が新しく、近代設備により培養、生育管理、包装荷造りをしており、安定的な出荷をしています。また上伊那産はアクが少なくて扱いやすいので、いろいろな料理に利用できます。周年栽培で、一年中出荷をしています。
アルストロメリアは周年生産が行なわれており、面積当たりの収量や生産額は他の品目と比較して高い水準です。一方で、種苗費、施設費、光熱費などの経費や、収穫時期により単価が大きく異なるため、生産性や品質向上に関する対応技術も必要です。
トルコギキョウは、6月下旬定植、10月下旬出荷が大多数を占めています。育苗は生産者による共同育苗で行うため、高品質な苗が割安に入手できます。オリジナル品種が大半を占めているため、販売面でも優位販売されています。
さわやかな高原が広がる伊那市は、長野県を代表する酪農地帯です。ここで毎日搾られる新鮮な生乳は、多くの人々に愛されてきました。牛乳の本物の味わいをいかしたヨーグルトやアイスクリームなどの製品も人気です。
中央アルプスと南アルプスの清らかな水と空気の中で、生産者一人ひとりが丹精こめて肉牛を飼育しています。品種により「信州和牛」、「信州アルプス牛」と区別していますが、1頭1頭生産者の愛情にささえられ飼育されています。「信州アルプス牛」は和牛の肉質”霜降り”の良いところと、乳用牛の短期間で大きくなる性質を利用し、また、乳用牛(国産牛)より5~6ヶ月飼育期間を延長することにより和牛に近いおいしい値頃感のある牛肉に仕上げています。
伊那市で採れた卵は、健康なニワトリから生まれた卵黄の色が濃く、白身はプリプリとしたおいしい卵です。トウモロコシを主体に、魚粉、海藻粉末を加えた自然の恵みたっぷりの飼料で飼育されたニワトリから生まれているので、DHA・ビタミンE・リノール酸といった話題の成分を豊富に含んだ総合栄養食品です。一羽一羽の状態を把握し、鶏舎の衛生管理を徹底しています。